股関節の主な疾患
変形性股関節症
変形性股関節症は先天的な原因や、後天性の疾病やけがにより股関節の構造に破綻が生じた状態を言います。患者様の多くは女性で、主な症状は関節の痛みと機能障害です。
股関節は鼠径部にあるため、最初のうちは立ち上がった時や歩き始めた時などに脚の付け根部分に痛みを覚えます。進行するに従ってそうした痛みが強くなり、いつも痛むようになったり、夜寝ている時にも痛んだりするようになります。
単純性股関節炎
一過性の股関節疾患で、小児期(3~10歳)によく見られる疾患です。女児よりも男児に多いのが特徴です。原因は不明ですが、風邪を引いた後に発症しやすいことから、自然な免疫反応ではないかと言われています。
症状としては、太ももや膝の痛みや足の引きずり、歩行困難などが見られます。単純性股関節炎の症状は、小児期に発症する他の股関節疾患の初期症状に似ているため、注意深く経過観察をする必要があります。
膝の主な疾患
変形性膝関節症
加齢や繰り返しの力学的負荷により膝関節の軟骨がすり減ってしまうことで、結果として関節炎が生じ、膝の痛みや水が溜まるなどの症状が現れる疾患です。初期では、立ち座り・歩き始めなどに痛みがあり、休めば痛みは消えます。しかし、だんだんと正座や階段の昇り降りが困難になり、末期になると安静時にも痛みがとれなくなって、膝関節の変形も目立ってきます。
主な原因は関節軟骨の老化であり、年齢とともに患者数は増加します。根本的に軟骨を元に戻す治療法は確立されておらず、手術以外では、症状を緩和させる対症療法が基本となります。対症療法は、痛み止めの内服や外用、関節内注射(炎症を抑える薬や衝撃緩和作用のあるヒアルロン酸)がメインです。また、筋力の強化や関節の可動域を広げることを目的とした運動器リハビリテーションが非常に大切です。
靭帯損傷
スポーツや交通事故などで膝の靱帯に大きな力が加わり、部分的または完全に損傷、断裂してしまった状態です。急性期には膝の痛みと関節を動かせる範囲の制限(可動域制限)がみられます。しばらくすると、腫れが顕著になってくることもあります。急性期を過ぎると痛みや腫れ、可動域制限はどれも軽くなってきます。ただし、この頃になると損傷部位によっては、膝の不安定感が目立ってくることがあります。
足の主な疾患
- 足底腱膜炎
- アキレス腱断裂
- 外反母趾
- 踵骨骨端症(シーバー病)
- 痛風
- 関節リウマチ
- モートン病
- 蜂窩織炎
- 種子骨炎
- 疲労骨折
- シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
足底腱膜炎
足底腱膜は、踵から足の指の付け根まで、足の裏に張っている膜状の腱組織で、足への体重負荷を軽減させるための、クッションの役割を担っています。足底腱膜炎とは、その足底腱膜の組織に細かい断裂が生じて炎症が起こり、痛みが伴う疾患です。踵の前方部分や中央部の土踏まずの部分などに痛みが出やすいと言われます。一度、しっかりと足を休ませてあげることが大切です。
外反母趾
足の人指し指(第2趾)の方に足の親指(母趾)の先が「くの字」の状態で変形している疾患が外反母趾です。変形したことで出っ張った部分が靴によって圧迫されることで痛みや炎症が起き、症状が悪化すると靴を履いていなくても痛むようになります。
発症する原因は、幅の狭い、つま先が細くなった靴を履くことで起きるとされ、これにより足の親指のつけ根から先が圧迫、変形していくのです。特にヒールの高い靴の場合は、つけ根にかかる力が増えるため、さらに変形を強くします。
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
走ったり、跳んだりするスポーツ(陸上競技やバスケットボールなど)でよく起きる障害です。筋肉が付着する脛骨内側の骨膜に度々刺激が加わることで炎症が起きた状態になります。発症初期には運動時にだけ、すねの骨に沿った、うずくような鈍痛が現れますが、ひどくなると歩行困難になってきます。
また、シンスプリントと呼ばれるものの多くは、脛骨過労性骨膜炎(骨膜に炎症が起こることによって痛みを生じる障害)のことであり、下腿疲労骨折とは違って、脛骨に沿って生じます。